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2025.2.18
花粉症が睡眠の質に与える影響と対策

目次
はじめに
春が近づくと、多くの人が花粉症の症状に悩まされます。くしゃみや鼻水、目のかゆみなどの症状がつらいだけでなく、実は 睡眠の質にも大きな影響 を及ぼしていることをご存じでしょうか?
どのくらいの人が影響を受けているのか
筑波大学の研究では、アレルギー性鼻炎の通院者は、非通院者と比較して睡眠の充足度が低いことが報告されています。睡眠障害とアレルギー性鼻炎について、鼻閉をともなうアレルギー性鼻炎の80%以上が十分な睡眠がとれず、70.5%が日中の眠気を感じていたと報告されています。これらの症状は日中の睡眠不足や、それによる労働生産性の低下を引き起こしている可能性があります。

花粉症が睡眠に及ぼす主な影響
花粉症は アレルギー性鼻炎の一種 で、鼻の粘膜が炎症を起こし、鼻づまりやくしゃみを引き起こします。これが睡眠にどのように影響するのか、主なポイントを見ていきましょう。
鼻づまりによる呼吸の妨げ
鼻づまりによって口呼吸になり、喉の乾燥やいびきの原因となります。その結果、睡眠の質が低下し、酸素の取り込みが減ることで熟睡感も得にくくなります。
夜間のくしゃみ・鼻水による中途覚醒
寝具や髪の毛に付着した花粉がアレルギー症状を悪化させ、夜中に何度も目が覚めてしまいます。その結果、深い眠りが妨げられ、睡眠の質が低下します。
アレルギー反応による日中の眠気や疲労感
アレルギー反応により眠気を感じることがあります。またアレルギーによる鼻づまりや中途覚醒で十分な睡眠が取れません。その結果、日中の眠気が強まり、集中力も低下します。

花粉症シーズンの睡眠の質を上げる方法
花粉症の症状を軽減し、睡眠の質を向上させるために、以下の対策を試してみましょう。
1. 寝室の環境を整える
部屋に花粉を持ち込まない
花粉の付きにくいつるつるした素材のアウターを選び、家に入る前に花粉を落としましょう。
帰宅後すぐに衣類を着替え、シャワーを浴び、寝室に入る前に花粉をしっかり払い落としましょう。
空気清浄機と加湿器を活用する
HEPAフィルター付きの空気清浄機を寝室に置き、花粉を除去し、部屋の湿度を50%以上に保ち、花粉を床に落としましょう。

2. 就寝前のセルフケア
寝る前に鼻うがい
ぬるま湯や専用の生理食塩水で鼻を洗うと、花粉や鼻水が流され鼻づまりが軽減します。
点鼻薬の使用
鼻詰まりがある方は医師の指導の下、点鼻薬を使用し、鼻詰まりを解消しましょう。
寝る前にホットタオルで鼻を温める
鼻の通りが良くなり、呼吸がしやすくなります。
3.眠くなりにくい抗アレルギー薬の選び方
抗ヒスタミン薬は、種類によっては 眠気を強く引き起こすものもあります。
第2世代抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬は眠気の影響が少なく、日中の活動に支障が出にくいとされています。
仕事に支障が出るなど悩まれている方は、眠くなりにくいお薬の処方を医師にご相談下さい。

まとめ
花粉症による鼻づまりやくしゃみは、睡眠の質を大きく低下させる原因になります。しかし、寝室環境の工夫やセルフケアを行うことで、快適な睡眠を確保することは可能です。
睡眠の質が低下すると、日中のパフォーマンスにも影響を及ぼしますので、早めの対策を心がけましょう。
睡眠に関するお悩みがある方は、ぜひ当院へご相談ください。
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コラム監修者

井坂奈央
Dクリニック東京ウェルネス 睡眠・SAS外来 センター長
【参考文献】
・平成28年度 厚生労働科学研究費補助金 (政策科学総合研究事業(臨床研究等ICT基盤構築研究事業)) 分担研究報告書 『国民生活基礎調査を基にしたアレルギー性鼻炎通院が生活の質に与える影響に関する研究』