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2024.6.27
CPAP(シーパップ)とは?睡眠時無呼吸症候群やいびきの治療について
家族から「睡眠時によくいびきをかいている」、「呼吸が止まっている」と言われる方の中で、日中の強い眠気や倦怠感に悩んでいる方が多くいらっしゃいます。
この記事では、そんな悩みを抱えている方に有効とされている、「CPAP(シーパップ)療法」について、使用方法や費用、健康保険の適用など、専門家の視点から詳しく解説しています。
目次
CPAP(シーパップ)とはどんな治療法?
CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)とは、機械で圧力をかけた空気を、ホースやマスクを介して鼻から気道に送り、拡げることで睡眠中の無呼吸やいびきを防止する治療法です。圧力をかけることで気道が狭くなることを防げるため、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症の方に効果が高い治療法と言われております。
一般的に、CPAP機器本体と、空気を送るチューブ、鼻(または鼻と口)にあてるマスクからなり、睡眠中に装着します。
CPAP療法は、検査によって一定の基準を満たせば、健康保険の適用となります。健康保険で治療を行う場合は、定期的な受診が必要です。
CPAP(シーパップ)治療の効果
CPAP療法を適切に行うことで、睡眠中のいびきや無呼吸が減少するため、睡眠の質が高まり、スッキリと目覚めることができます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の心臓・血管系疾患による死亡率は、睡眠時無呼吸症候群でない方と比べて2.2倍高いとされていますが、CPAP療法により、一般の人と同等になると言われています。
睡眠時無呼吸症候群に対する効果が証明されているだけでなく、治療を続けることで、眠気がなくなる、夜間のトイレの回数が減るといった症状の改善や、降圧(血圧を下げる)効果も期待できます。
CPAP(シーパップ)治療の注意点
人によって、CPAP機器に慣れるまでに、2~3か月程度かかる場合があります。短い時間でも装着することで効果はあり、CPAP機器に早く慣れることができます。
1.空気の圧力による不快感
圧力のかかった空気が耳に抜けて不快、息を吐く時にも空気が送られてくるため違和感があり寝つきが悪くなる、無意識に空気を飲み込むことでお腹が張る、などの症状を感じる方は、CPAP機器の圧力を調整することで症状が改善する可能性がありますので医師に相談してみましょう。
2.肌がかぶれる
マスクがあたる鼻の周囲が赤くかぶれてしまう方は、強く締め過ぎている可能性があります。マスクフィッティングを見直しても改善しない場合は、マスクの形自体が合っていない可能性もあるので、別タイプのマスクの検討も含めて、医師に相談しましょう。
3.鼻や喉、目や口が乾く
鼻や喉が乾燥する場合は、加湿器などで湿度調整をしましょう。また、口を閉じて眠るためのバンドもあるので、医師に相談してください。
目が乾燥する場合は、マスクからの空気漏れが原因の可能性もあるので、マスクが正しく装着されているかを確認しましょう。
CPAP(シーパップ)のマスクの種類
装着するマスクには、複数のタイプがあります。
一般的に、「鼻マスクタイプ」が主流となっていますが、就寝中に口を開いてしまう方は、口から空気漏れ(マスクリーク)しないタイプのマスクの方が有効な場合もあるので、医師に相談してみましょう。
1.鼻マスクタイプ
シリコン製のクッションで鼻を覆うタイプで、最も一般的なマスクです。
ヘッドギアを頭部に装着することができるため、睡眠中にズレにくく、安定性に優れます。多少であれば空気漏れしても問題ないので、ヘッドギアの締め過ぎには気をつけましょう。きつく締め過ぎると、鼻根部にマスクのあとが残ったり、鼻の周囲に皮膚炎を起こす可能性があります。
2.ピロータイプ
シリコン製の鼻ピローを、鼻腔に直接差し込むタイプのマスクです。
肌との接着面が少ないため、マスクのあとが残ることがなく、視界も開放的です。以前は、寝返りなどによって外れやすいという欠点がありましたが、最近はヘッドギア部分が改良されているため、安定性に優れた装置が増えています。
3.フルフェイスタイプ
シリコン製のクッションで、鼻と口を一緒に覆うタイプのマスクです。
就寝中に口を開いてしまう方や、強い鼻づまりなどによって鼻呼吸が困難な方が選択します。口からの空気漏れの心配はありませんが、閉塞感があるため、眠りにくいと感じる方もいます。鼻マスクに比べて空気漏れのリスクが高いこと、かかる圧力が高くなる傾向があるため注意が必要です。
レンタルと購入について
1.レンタルする場合
検査を受け一定基準を満たした場合、健康保険でCPAP機器をレンタルすることが可能です。健康保険3割負担の方がCPAP療法をする場合、CPAP装置のレンタル料と診察費用を合わせて1か月で約4,000円です。
CPAP治療は慣れるまでに時間がかかるので、まずはレンタルして慣れるまで続けてみましょう。
2.購入する場合
健康保険でCPAP機器のレンタルができない場合、CPAP機器の購入が可能です。
CPAP機器を購入する場合は健康保険適用外になるため初期費用は高額です。機器自体が30万円前後かかります。ただ、長期的に使用される場合は、医療費の削減につながる可能性があります。
購入を検討される場合、まずはCPAPに慣れ、メリット・デメリットを把握しましょう。
いびきや無呼吸は放置しない
いびきや無呼吸は、つい「大した事ない」と思って放置してしまいがちですが、睡眠中に起こる全身の低酸素状態が及ぼす影響は大きく、放置することによりリスクは高まります。
CPAP療法は効果の高さはもちろん、検査結果によって健康保険適用になるため費用負担が少なく、自宅で治療することができるので、手軽に始めることができます。
良質な睡眠を得ることで、目覚めの良さや、日中のパフォーマンスを高めることにつながります。いびきや無呼吸を指摘されたことのある方や、朝起きた時に熟睡感がなく疲れている方は、一度医療機関を受診してみましょう。
当院では、初診から検査結果の説明までオンライン診療で受診することが可能です。病院に行くことに抵抗がある方は、オンライン診療でご相談ください。
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コラム監修者
井坂奈央
Dクリニック東京ウェルネス 睡眠・SAS外来 センター長